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【追悼・安倍晋三元総理/ご寄稿文⑰】小田原潔氏、上島嘉郎氏、北村淳氏、工藤美代子氏

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機関誌『日本の息吹』特別号【安倍晋三元総理追悼号】にご寄稿頂いた追悼文を
順次ご紹介させて頂きます。

◆「特別号」(1冊600円 送料実費)をご希望の方は、下記お問合せフォームよりお申込み下さい。
 お問合せフォーム→ https://www.nipponkaigi.org/inquiry/ 

 ※必須項目と郵便番号・住所、内容欄に「特別号希望」とご入力下さい。
  「折り返し、ご入金方法をご案内します(先払い)」
  「お知りになった切っ掛け」「ご年齢」もお知らせ頂けますならば幸いです。

※ご入会頂いた皆様には【初回号として】「特別号」をご送付します。
 入会申込みはこちらから→https://www.nipponkaigi.org/member

小田原潔 衆議院議員

安倍晋三元総理への感謝を胸に

 令和四年七月八日、参議院選の応援演説中に、世界からの信頼も厚い日本の指導者、安倍晋三元内閣総理大臣が凶弾に倒れ、ご逝去されました。数日前には、参議院選の応援で地元立川に入られた安倍先生とご一緒したばかり、あまりにも突然の報に、未だ心の穴は埋まらず、気持ちの整理はつきません。

 私を含め四期生は、自民党が野党の時に、これでは国がガタガタになるという危機感で国政を志しました。当時、安倍総裁の下で総選挙を戦い、共に政権を奪還し、十年間その背中を見て育ちました。数々のご指導、ご厚情、一生感謝することでしょう。

 悲報に接した時から「運を持っている人だからきっと一命をとりとめてくれる」と祈り続けていました。夕方訃報に接してからは、呆然と深夜までただただテレビをつけていました。何時になったら就寝するべきかも分からない心境でした。

 これから、憲法改正、防衛費増額、積極財政、皇室の安定的継承等、保守をまとめていく最も重要な指導者でした。日本を愛し、二百六十か国・地域・機関等の要人等から千七百件以上の弔意メッセージ・声明等が寄せられるほど世界から敬意を受けた人物だからこそ、できることがありました。本当に悔しくて、残念でなりません。

 しかし、課題は待ってはくれません。遺志を継ぎ、我々は一致結束して国民の負託に応える為に働いてまいります。

 心からご冥福をお祈り致します。どうぞ私たち国民を見守っていてください。

上島嘉郎 ジャーナリスト

 松陰の「至誠留魂」を胸に

 「やあ、編集長」。雑誌の対談などでお目にかかると、気さくに声をかけてくださった安倍さんの笑顔が忘れられません。第二次政権発足後、「安倍晋三、救国宰相の試練」という特集号(別冊正論)を出しました。「戦後レジームからの脱却」を掲げた安倍政治の「歴史的使命」を論じ、それを支える国民の覚悟を問うた一冊です。

 戦後日本の根本課題に挑み続けた政治家は、道半ばに斃れました。国民の一人として無念でなりません。

 生前安倍さんは、父晋太郎氏の葬儀で、また盟友中川昭一氏の葬儀で、吉田松陰の『留魂録』の一節を胸に、哀悼の情と自らの決意を明かしていました。

〈十歳で死ぬ者は、その十歳の中におのずから四季を存し、二十歳の者には二十歳の中に、三十歳の者には三十歳の中に四季があり、五十、百はおのずから五十、百の中に四季を有するはずである。

 私は三十歳、四季はすでに備わっている。花も咲き実も結んだはずだ。同志の君達のなかに、私のささやかな真心を憐れみ、私の志を継いでやろうという人がいるなら、それはのちに蒔かれる種が絶えないで、穀物の収穫がつづけられていくことを意味するのだ。

 同志よ、どうか私の言わんとすることをよく考えてほしい。〉此度は夫人の昭恵さんがこの言葉を会葬者に伝えました。松陰の「至誠留魂」を信じた安倍さん。その志は今私たちに向けられています。後に続くを信ず、と。

北村淳 軍事社会学者

 遺志を継ぎ行動を―まずは防衛装備移転三原則の推進から

 安倍晋三元首相は凶弾に斃れ突然帰らぬ人となってしまったが、安倍氏の遺志を受け継ぐには行動が必要である。

 安倍元首相が遺された軍事安全保障面における数々の道筋のうち、防衛当局はもとより経済産業省や外務省そして国会などが本腰を入れて推進させなければならないのは、第二次安倍内閣時代に打ち出された防衛装備移転三原則である。

 この原則は、如何なる国家にとっても精強なる軍事組織とともに国防の両輪の一つとなる防衛関連産業を育成するだけでなく、日本製防衛システムを通して同盟友好諸国との実体ある防衛協力を維持するため、まさに画期的な方針と言える。

 それだけではなく、最先端技術を多用せねばならない兵器システムの開発は、非軍事分野における技術力の発展維持にも大きく貢献するとともに、幅広い産業分野を巻き込む必要もあるゆえに、日本経済の再興にも大きく寄与することになる。

 残念ながら、これまでのところ政府諸機関や政治家たちの努力不足のため、防衛装備や関連技術の輸出や共同開発に関してはさしたる効果が上がっていない。われわれは、この原則が持つ意義を再認識し、民間、政府諸機関そして国会が一丸となりこの原則を推し進めていくことこそ、安倍元首相を行動によって追悼することになるものと信ずる。

工藤美代子 ノンフィクション作家

 「よろぼひて泣く」

 なぜ安倍元総理が突然のように凶弾に襲われて亡くなったのか。その事実を体内で消化し切れないまま問い続けている日本人は多いことだろう。民主主義の敗北か、日本全体の気の緩みか、時代の閉塞感かといった言葉がマスコミには溢れている。

 私は安倍元総理とお会いしたことは3、4回しかない。いずれも穏やかで楽しい会話が記憶に残っている。しかし、元総理の政治家としての業績や人柄を語る資格など自分にはないのは承知だ。

 安倍氏が暗殺されたという第一報を知った時には驚きで呆然とした。その翌日に私の脳裏に浮かんだ和歌があった。

「その人を語るは外にありぬべし老いたる友はよろぼひて泣く」

 昭和18年4月、連合艦隊司令長官の山本五十六が、前線視察に出たブーゲンビルの上空で、米軍に撃墜され戦死した。日本国民の慟哭は深く、新聞は山本の死を悼むと同時に、国民の士気を鼓舞する記事で覆われた。その時に山本と長岡中学で同窓だった外山且正が詠んだのが先の歌である。

 もしも山本が生きていたら、戦争はあれほど長引かなかったのではないかと語る人は、戦後も跡を絶たなかった。

 私は安倍晋三という政治家を詳しく評価する学識は持ち合わせていない。それは政治家、経済人、評論家、研究者の方々に任せたい。ただ今は、マジョリティーの国民と同じく、よろぼいて泣きながら追悼したいのである。


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