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【追悼・安倍晋三元総理/ご寄稿文⑮】鬼木誠氏、田久保忠衛氏、竹内久美子氏、竹中俊裕氏

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機関誌『日本の息吹』特別号【安倍晋三元総理追悼号】にご寄稿頂いた追悼文を
順次ご紹介させて頂きます。

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鬼木誠 衆議院議員

国の平和と安全を守る目覚ましい功績

 参院選最終盤、猛暑の中で意識朦朧とした私は「これは熱中症か?」と思い、翌朝かかりつけの医院を受診した。主治医は新型コロナの疑いがあると診断し、私はPCR検査を受けることに。翌日の判定までの間の安静を指示され、7月8日、私は自宅のテレビの前に居た。そこへ飛び込んできた「安倍元総理銃撃される」の報。私は一日テレビにかじりついた。多くの国民の祈りも虚しく、安倍元総理の一命は失われた。

 実弟の岸防衛大臣のお気持ちはいかばかりか。防衛副大臣の私はすぐに上京して、大臣の傍へ行き、大臣が自由に移動できるようサポートしたい気持ちは募るばかりだった。しかし私はコロナ陽性となり、身動きが取れなくなってしまった。不可抗力とはいえ痛恨であった。
防衛に特化しても安倍元総理のご功績は凄まじいものがある。平和安全法制、武器輸出三原則の改定、特定秘密保護法の制定、これらは現代日本防衛の根幹をなすものであり、逆に言えば「よく今までこれをほったらかして国が守れていたものだ」というほど死活的に重要であり、かつ実現困難な改革を成し遂げられたのだ。

 そしてこの先にあったのが、防衛戦略三文書の改定、防衛費の増加による防衛力の抜本強化、さらには憲法改正であった。左派からは「安倍政権は戦争につながる」とレッテルを貼られてきたが、政権与党として現実的に日本の平和と安全を守るべく全力を尽くしてきたのが安倍元総理だと私は確信している。

田久保忠衛 日本会議会長・杏林大学名誉教授

時代が必要とした安倍氏を悼む

 「安倍元首相、撃たれる」の第一報から、通信社電などの速報を慄然たる思いで目にしながら、一命だけは取りとめてほしいと私は願った。1963年にケネディ米大統領が暗殺されたときの外電の第一報は「ケネディ撃たる」、次いで「撃たれたのはダラス」など至急報の連続だった。米国民は助かってほしいと祈ったが、天は非情だった。日本は安倍晋三というかけがえのない人物を最も必要としている時代に失ってしまった。痛恨に堪えない。

◆大局から判断した外交・内政

 安倍氏の外交、内政を一言で表現しろと言われたら、私は「戦後レジームからの脱却」だと答える。ここから「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」姿勢が登場した。外務大臣が無能なのか外務省に責任があるのか定かではないが、外部で観察するかぎりでは二国間外交、それも相手国を刺激しないことに徹底した外交は「チャイナ・スクール」「土下座外交」という固有名詞まで生んだ。戦略性を帯びる外交には国際情勢を大局から判断する姿勢が不可欠だ。

 2011年に国家基本問題研究所(櫻井よしこ理事長)がインドを訪れたことがある。安倍氏を中心とする自民党の議員団と一緒になった際に、07年に首相としてインド議会で行った演説の感想を求められた。インド洋と太平洋を眼下に見渡し、戦略性に富んだ、躍動するような文章だったので「役所の書いたものではありませんね」と不躾(ぶしつけ)な答えをしてしまった。これがいわゆる「2つの海の交わり」演説だ。議会は満場の拍手で応じ、インドの各紙は大きく取り扱った。

 この安倍構想はいま、米国、インド、豪州、日本の「クアッド」に発展した。15年前に安倍氏の頭にはインド洋、太平洋にわたる対中戦略が練り上げられていたことになる。戦後に別れを告げる重要な動きは2015年8月14日に発表された戦後70年談話・安倍首相談話だ。活字で賛成の手を挙げたのが早かったせいか私への風当たりも強かった。しかし左右、前後に目配りしてほしい。この安倍談話は学界における研究発表ではない。

 毎年8月15日が近づく度に戦前の罪とやらを詫(わ)びろと騒ぎ立てる内外の反日勢力に、静かにしてほしいと要求する政治的文書だ。いわれのない戦前批判には終止符が打たれた。以後今日までトラブルは全く起きていないではないか。安倍氏の政治力は熟している。

◆歪な防衛体制を是正

 安倍氏の功績の中で特筆大書すべきは、戦後歪(いびつ)なままで現在に至っている防衛体制を是正しようと努めたことだと思う。総じて日本の防衛体制が「普通の国」のそれに及ばないのは、敗戦による衝撃の後遺症が依然として残っている、防衛を怖がる臆病な気持ちの蔓延(まんえん)、政治家にとって票にならない―などいくつもの理由があろう。防衛に手をつけない口実として登場したのが軽武装・経済大国を目指す「吉田ドクトリン」だ。岸田文雄首相は自著の中で自らこのドクトリンの信奉者だと言い切っている。ウクライナ戦争を契機に国際情勢はにわかに慌ただしくなり、日本だけが軽武装だなどと寝ぼけていたらどうなるか、は首相が一番承知のはずだ。

 安倍氏は政権を取った翌年の2013年に国家安全保障会議を設置した。首相を司令塔に、官房長官、外相、防衛相の4大臣会合、ときには9大臣会合が開かれ、国家安全保障に関する重要事項および重大緊急事態への対処を審議する。首相官邸が重要な役割を果たす体制をつくり上げた。

 おそらく安倍氏が最大の労力を払ったのは平和安全法制であろう。自身の言葉を引用すると、「乾坤一擲(けんこんいってき)の大勝負に出なければならない『ここ一番』。安倍政権にとってそれは二〇一五年に訪れました」である。集団的自衛権の一部を容認する道を開かなければ、日本の防衛力による米軍の後方支援も許されなかった。「内閣支持率を一〇%失ってもなお、私の信念は揺るぎませんでした」(「安倍晋三時代に挑む!」)と書いている。世論の一部を敵にしても国のためにはやる、との気迫を感じる。

◆原点の憲法の根本的改正

 戦後時代を脱皮させるには、原点である日本国憲法を根本的に改めなければならない。ロシアのウクライナ侵攻に即時対応し、国防政策の百八十度転換を図ったのはドイツだ。ドイツの変わり身は早い。国際環境の険しさに岸田首相も気づいたのだろう。防衛力の抜本的強化を公約した。英シンクタンク「欧州外交評議会」のマーク・レナード氏は最近のフォーリン・アフェアーズ誌ウェブ版に、衰退する米国の穴をドイツと日本が埋める時代の到来をほのめかす一文を書いた。が、敗戦国の日独両国が一人前のプレーヤーになるのを目前に安倍氏は去った。

 安倍さん、親ほど年の違う私が安倍さんの弔文を書くことになるとは夢にも思わなかった。どうぞ安らかにお休みください。

(本稿は、7月12日の産経新聞「正論」欄から許可を得て転載したものです)

竹内久美子 動物行動学研究家・エッセイスト

 血脈と振る舞い

 安倍元首相について様々な高評価のある中、エリート政治家の家系に誕生されたことに私は注目したい。安倍氏ほどその利点を生かすことのできた方はいないと思うのだ。

 周知の通り、自民党幹事長などをつとめた安倍晋太郎氏を父とし(その父、寛氏も衆議院議員)、母方の祖父は元首相の岸信介氏、信介氏の弟がやはり元首相の佐藤栄作氏である。

 安倍氏の幼いころの写真は、兄の寛信氏とともに信介氏の膝に抱かれているものが多い。安倍氏の回想でも、「安保反対」を叫ぶ学生たちに少しも怯むことがなかった首相岸氏の態度が語られている。

 遺伝的な素質を備えたうえにこのような環境に育つことで、自身が人の上に立つ際にどのように振る舞うべきかが会得されたのではないだろうか。

 櫻井よしこ氏が『WiLL9月追悼特集号安倍総理ありがとう!』に菅直人氏の対照的な逸話を紹介している。2011年11月14日、横浜で開かれた、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の環太平洋経済提携協定(TPP)において菅首相は胡錦涛主席を前に委縮。メモを読み上げるだけで終わってしまったという。

 奇しくもその2か月前には尖閣漁船衝突事件が勃発、映像は11月1日に一部の国会議員に、4日には一色正春氏によってYouTube上に公開されている。そのような事情もあったのだろうが、安倍氏なら堂々とわたりあっていたはずだ。

 国を代表し、他国とも対等に接する。そんな当たり前を自然体で演じた安倍氏。政界のサラブレッドであるからこそ可能だったのだろう。

竹田恒泰 作家

 皇統を守った安倍元総理

 安倍晋三元総理の功績は多岐にわたる。そのなかでも、特に皇室に関することを申し述べ、追悼したいと思う。

 小泉純一郎内閣が女性・「女系」天皇を容認する皇室典範の改正を試みるなか、秋篠宮妃紀子殿下の御懐妊が発表されたにもかかわらず、小泉総理は典範改正を進めるつもりだった。しかし、総理を全力で説得してこれを止めたのが、この内閣で官房長官を務めていた安倍氏である。その後に成立した第一次安倍内閣では、皇室典範の改正を白紙に戻すことを決めた。
もし、安倍氏がこれを阻止していなければ、皇位の男系継承は途絶するところだった。その功績は後世に語り継がれるべきものと思う。

 また、平成から令和への皇位継承は、安倍内閣の偉業の一つとして特筆すべきことである。難題だった譲位特例法を成立させ、即位礼正殿の儀、大嘗祭、立皇嗣の礼などの一連の儀礼を恙なく済ませることができたのは、安倍総理の努力の賜物である。そして、後継の菅義偉内閣で皇位継承を議論する有識者会議が立ち上がり、女性・「女系」天皇を排除した結論が報告されたことで、男系継承の道筋が固まったといえる。

 そして、今私たちが慣れ親しんでいる元号の「令和」を決めたのは安倍総理だということも記憶にとどめておきたい。

 私たちは皇統護持について、安倍氏の存在に頼り過ぎていたのではないだろうか。安倍氏なき日本において、私たちが一層力を合わせることで、安倍氏に報いていきたい。

竹中俊裕 イラストレーター

 「神さまとなってお守りください」

安倍晋三様

今あなたを亡くした大きな悲しみと底知れぬ不安で途方に暮れています。

もう私たちのもとにいてくださらないことを思うたびに目眩がする思いです。

あなたがどんなに私たち日本人を愛しみ守ってくださっていたか、どれほど心ない人たちに誤解され誹謗されようと正しき道を貫かれたか、大きく高い視点でまつりごとを為されてきたのか、私たちは知っています。

あなたがいてくださった事で、不安ばかりのニュースに触れても、どこか安心感があり、「いざとなれば安倍さんがいてくれる」と心を落ち着かせる事ができました。

なにか事が起きようとも、きっと政治家の皆さんが安倍さんに相談されて、難局を切り抜けてくださると信じることができました。

しかしこれからの私たちは、あなたに頼ることも、導きを請うことも叶いません。

残された私たちは「安倍総理ならどうするだろうか?」と自らに問いかけながら生きるほかないのでしょう。

私たち日本人は、亡くなった親や師やご先祖様にいつも問いかけ、その御霊に恥じないようにと自らを戒めて生きる民族ですから。

あなたはいま、私たちのゆく道を指し示す神様のような存在になられた気がいたします。

これからの日本のため、どうかこれからも私たちに力と勇気をお与えください。

いつの日か安倍晋三神社ができた折には必ずお参りさせていただきます。

今まで本当にありがとうございました。

ご冥福を心よりお祈りいたします。


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