機関誌『日本の息吹』特別号【安倍晋三元総理追悼号】にご寄稿頂いた追悼文を
順次ご紹介させて頂きます。
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柴山昌彦 衆議院議員
令和4年7月8日、安倍晋三元総理が凶弾に倒れ、逝去されました。私もいまだ気持ちの整理がつかないというのが、偽らざる心境です。
安倍先生は、私が平成16年の補欠選挙に自民党初の全国公募で選ばれ立候補した時の幹事長として、厳しい選挙の陣頭指揮を執って当選へと導いて下さいました。
以来、安倍先生は私の政治の師であり、最も尊敬する兄貴分でもありました。
第二次安倍政権では安全保障担当の首相補佐官として、核セキュリティサミットでアメリカのオバマ大統領(当時)との議論にご一緒したり、南スーダンのキール大統領への密使として、当時駐留していた自衛隊撤収の極秘ミッションなどを任せていただきました。
平成30年に文部科学大臣を拝命した時は、弁護士としての経験を活かして文部科学行政の立て直しを命じられ、全力で取り組んだことも私の大きな財産です。
安倍元総理は日本のみならず諸外国でも、憲政史上在任期間最長の総理として高く評価され、世界中から寄せられる哀悼の言葉の数々が、そのプレゼンスの大きさを物語っています。
私が所属する清和政策研究会の会長、また保守政治家のリーダーとして、憲法改正をはじめまだまだ志半ばの課題も多く、ご本人が一番無念だったことでしょう。
残された私達が悲しみを乗り越え、その遺志を受け継ぎ発展させることこそが、故人への何よりの供養になると信じ、安倍晋三元総理への感謝とともに、ご冥福を心からお祈り申し上げます。
ケント・ギルバート カリフォルニア州弁護士
安倍晋三元首相が7月8日、街頭演説中に銃撃された一報を知り、衝撃を受けた。
ケネディ米大統領の暗殺(1963年)を思い出した。当時、小学生だった私は体育館でダンスの授業を受けていた。先生が突然、飛び込んできて、生徒は教室に戻されて、数時間後に訃報が発表された。安倍さんの件は、それ以上の衝撃だった。
安倍さんとは、「日本国憲法を考えるシンポジウム」や、月刊誌の対談など、ご一緒する機会が多かった。お会いすると、簡単なあいさつだけではなく、常に「ケントさん、あの本を読みましたよ」などと声を掛けてくれた。その心配りに、いつも感銘を受けていた。
安倍さんが残した功績は大きい。「外交の安倍」として世界各国の首脳から絶賛され、特に日米同盟強化に力を入れた。2019年の令和改元後、国賓として最初に、当時のドナルド・トランプ米大統領夫妻を招待した。同年の対談(『WiLL』7月号)で話を聞くと、安倍さんは「米国は日本にとって唯一の同盟国です」「日本の総理大臣は米国大統領と信頼関係を築く責任と義務を負っている」と語っていた。非常に印象的だった。
私は、安倍さんの首相在任中に、憲法改正を実現してほしかった。
今回の参院選では、自民党だけで改選過半数を獲得し、改憲勢力は3分の2以上を維持した。「自衛隊明記」を含む憲法改正に早急に取り組むべきだ。岸田文雄首相はじめ政治家はその遺志を継ぎ、責任を持って憲法改正を成し遂げてほしい。
安倍さんのご冥福をお祈りいたします。
黄文雄 文明学者・評論家
岸田文雄現首相が、万難を排して凶弾に倒れた安倍晋三元首相の国葬を決めたことについて、その勇気と決断を評価しないわけにはいかないでしょう。
当初は犯人について元海上自衛隊員と報じられていましたが、今はもっぱら宗教団体(旧統一教会)の関係者としての側面に注目が集まっていることに違和感を禁じえません。というのも、マスメディアの報道があまりにも針小棒大だからです。
政治家が宗教団体と付き合うのは当たり前で、首相ばかりでなく与野党の党首にもよくある話です。
特定の宗教団体との付き合いばかりを取り上げるのは、安倍元首相の功績を矮小化しようとするマスコミの手口です。それよりも大事なのは国際貢献であり、外交面で国際的にどう見られているかを伝える必要があります。マスコミによる矮小化の罠に警戒しなければなりません。
繰り返しますが、特定の宗教団体と交流するのは、一国の首相として当然のことです。私・黄文雄は、文明学者として当たり前のことを述べているだけです。
安倍元首相の国葬にあたっては、やはりその国際貢献について報じるべきであって、宗教団体に関する行き過ぎた報道はむしろ抑えるべきです。それこそが政治の正道ではないでしょうか。
凶弾に倒れた安倍元首相には国葬がふさわしく、政治外交への貢献こそが注目されるべきなのです。
後藤俊彦 高千穂神社宮司
令和四年七月八日、参議院選挙遊説中の安倍元総理が凶弾に斃れた。「まさか」と思う私の脳裏に、一九六三年十一月、米国テキサス州ダラス市内で講演会場に向う車中で暗殺されたジョン・F・ケネディ大統領の悲劇的な映像が思い浮んだ。その日から六十年余をすぎたわが国において、かけがえのない天与の政治家を失うとは想像だにできない凶事が起きてしまったのである。
私は神道政治連盟の役員を務めていた頃に幾度か氏の謦咳に接する機会があった。飾り気のない率直な人柄でいつもユーモアを交えた語り口の人であった。中でも私の記憶に残っているのは平成二十四年三月十日、福島県相馬市で斎行された神道政治連盟主催の大震災物故者慰霊祭における安倍会長のスピーチである。二十分ほどの挨拶であったが、氏の純粋な人柄、政治家としての信念と国民を思いやる真摯な心情が言葉の隅々に漲っていた。さらに被災者に向けられた天皇陛下に対するむすびの文言には、氏の皇室に対する敬虔な心根が伺われ生涯忘れえぬ名スピーチであった。安倍元総理に対して世界二百ヶ国を超える国々から弔意が寄せられた。
戦後体制を脱却し美しい国を取り戻そうとした政治家安倍晋三氏の記憶は、昭和四十五年に「憲法改正」を訴えて自決した作家三島由紀夫と共に戦後日本の歴史に刻まれてゆくことであろう。