機関誌『日本の息吹』特別号【安倍晋三元総理追悼号】にご寄稿頂いた追悼文を
順次ご紹介させて頂きます。
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山谷えり子 参議院議員
喪失感は日に日に大きくなるばかりである。
夏の参議院選挙は、大変に厳しく、亡くなられた七月八日の夕方は、埼玉の大宮で私の応援弁士として演説をしてくださるはずでもあった。その前に開催した六月の「励ます会」では、冒頭挨拶で私のことを戦う政治家と言ってくださり、「男系でつないできた皇統を守っていくという上においても、いろんなことが起こる可能性があります。一度失ったものは、もう取り戻せないわけですから、その点で最後まで絶対的に戦い続けてくれるのは山谷さんなんだろうと思います」と言われていた。憲法改正、拉致問題解決、自信と誇りを持てる国づくりのため常に闘う不屈の政治家でいらした安倍元総理と、これからも心の中で対話を重ねながら進んでいきたい。
第一次安倍内閣で教育再生担当の総理補佐官を、第二次安倍内閣では拉致問題担当大臣を務めさせて頂き、総理の戦略性、実務能力、あたたかなリーダーシップに尊敬の念は強まるばかりだった。
総理に必要なことはと、記者に問われて「ビジョンとチーム力と情熱」と答えておられたが、明治以来最長の安倍内閣は、まさにその力で、国内に希望の息吹を吹き込み、国際社会では「自由で開かれたインド太平洋」構想など大きな構想をリードし、実現された。まだまだやりたいことがおありだったろう。このたび皆様のご支援により尊い議席をあずからせて頂いたことに感謝し、これからの六年間は、そのご遺志を結実させていくことが祖国日本への、安倍元総理へのご恩に報いることになると思い、走り続ける覚悟である。
北康利 作家
凶行の後、心療内科に駆け込む人がいたというが、国民の多くが今もPTSDに苦しんでいる。それほど安倍晋三閣下は国民に愛された首相だった。
刑事事件件数の低下も安倍政権の成果だが、起こるはずのない事件が起きてしまった。まるで戦死である。私は閣下の御霊が靖國に行かれている気がしてならない。
アベノミクスばかりが喧伝されているが、閣下の外交手腕は卓越していた。戦争とは外交の失敗だという意味で、閣下ほど戦争を抑止してきた首相はいないだろう。
残された我々は、悲願とされていた憲法改正を何が何でも達成せねばならない。実現の暁には、靖國へ報告に行きたいものである。
金美齢 評論家
安倍晋三さんは永遠に生きている。日本を愛し、台湾を愛し、世界を愛する人の心の中に。
以下は曽て、対談の中で安倍さんが発した言葉です。
《ピースボートが海賊の跋扈するソマリア沖で、自衛艦に保護を求めたことがありました。ピースボートを主宰している辻元清美さんは自衛隊の派遣に反対した人ですよ。現実を無視して自衛艦の派遣に反対していながら、自分たちはぬけぬけとその自衛艦に保護を求めてくる。私は「ピースでボーッとしてる人たち」と言っているんですよ。戦後レジームの中で育った人間の典型がこれです。》
衆議院議員の池田佳隆さんのパーティに届いたビデオレターで「今日の講師は私の恋人、金美齢さんです」と。私は「年寄だと思って安心してるよ。絶対スキャンダルにはならないから」。満場の拍手でした。
グレンコ・アンドリー 国際政治学者
日本は安全な国だという印象が強い。日本周辺の情勢は前から危ないと指摘されているが、日本国内でテロや国の指導者に対する暴力は極めてまれなことだと思われていた。しかし、安倍元総理の残虐な暗殺で、この常識はもはや過去のものとなる。
安倍元総理は、よほど無念だったであろう。このような形でこの世を去るなど理不尽極まりない。ご家族や安倍元総理を慕っていた方々に謹んでお悔やみ申し上げたい。
まだまだ実現したい思いはたくさんあったろうに、何の根拠もない、思い込みにのみ基づく暴力によって斃された。犯人が言うことはあまりにも支離滅裂である。彼が憎むはずの対象は安倍元総理と何の関係もない。精神が病んだテロ犯の妄想のせいで、標的になる虚しさは言葉に言い尽くせない。
このようなことは、絶対に繰り返されてはならないが、繰り返されない保証はあるのか。安倍元総理の暗殺は日本国内の警備、安全保障の問題点を露わにした。もし、ただの素人の狂人ですら最重要の政治家の命を奪えるなら、プロだったら尚のことできる。さらに、日本と敵対している国や勢力にとっては実に簡単なことだ。
安倍元総理の暗殺は、日本と敵対している勢力に「日本の要人は簡単に殺せる」という誤ったメッセージを送りかねない。だから、日本の要人の警備を根本的に強化しなければならない。集会や街頭演説の形式も警備員の能力も問い直されなければならない。これは国全体の平和と安全に関わる重要な課題だ。