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【追悼・安倍晋三元総理/ご寄稿文⑤】衛藤晟一氏、小川榮太郎氏、桶屋良祐氏、呉善花氏

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機関誌『日本の息吹』特別号【安倍晋三元総理追悼号】にご寄稿頂いた追悼文を
順次ご紹介させて頂きます。

◆「特別号」(1冊600円 送料実費)をご希望の方は、下記お問合せフォームよりお申込み下さい。
 お問合せフォーム→ https://www.nipponkaigi.org/inquiry/ 

 ※必須項目と郵便番号・住所、内容欄に「特別号希望」とご入力下さい。
  「折り返し、ご入金方法をご案内します(先払い)」
  「お知りになった切っ掛け」「ご年齢」もお知らせ頂けますならば幸いです。

※ご入会頂いた皆様には【初回号として】「特別号」をご送付します。
 入会申込みはこちらから→https://www.nipponkaigi.org/member

衛藤晟一 日本会議国会議員懇談会幹事長・参議院議員

 松陰の辞世の句に投影された安倍さんの思い

 これほどの喪失感に打ちのめされたことはない。私の胸に残響するのは、吉田松陰の辞世の句である。「身はたとひ武蔵の野辺に朽ぬとも留置かまし大和魂」。この世を去った後でも、残された同志が必ずや意思を継ぐという意味である。昭恵夫人は、安倍晋三さんが父の晋太郎さんへの手記の中で、吉田松陰の留魂録を引用していたのを紹介して「主人も六十七年の春夏秋冬があったと思う。最後、冬を迎えたが、種をいっぱいまいているので、それが芽吹き、やがて実を結ぶと思う」と涙した。

 安倍さんは覚悟を持って国政に携わった。日本を誇れる国にしたい。一刻も早く戦後体制に終止符を打ち、新しい「日本の朝」を迎えたい。その信念をよすがとして、全力で駆け抜けた人生だった。教育基本法の六十年振りの抜本改正、謝罪外交を終わらせる七十年談話、アベノミクスでの経済の再生、TPPによる自由貿易体制の確保、外交では日米豪印を軸とするインド太平洋構想、平和安全法制の制定と戦後体制からの大転換…。その功績は計り知れない。

 あとに残された者は、死活的な喫緊の課題に全力で取り組まなければならない。憲法改正、男系による安定的な皇位継承、日本を守り抜く安全保障体制の確立、そして先端技術の世界トップへの回帰、エネルギー問題の解決である。松陰の句に投影された安倍さんの思いを体現していく。それこそが、安倍さんの志に報いる道になるに違いない。今こそ、戦後体制を脱却し、新しい日本を創っていこうではないか。

小川榮太郎 文芸評論家

 存在そのものが救国だった人はもういない……

 安倍晋三は傑出した政治家というよりも、現代日本というガラパゴスにあって、存在そのものが総合安全保障であり、一人でシンクタンク機能を果していた。

 この事実の重さを体に直接来る痛覚として知る者は殆どいない。

 もし仮に二度の安倍政権がなければ、防衛省は防衛庁のまま、憲法改正国民投票法なく、国語、道徳教育の充実もなかった。日本版NSCも集団的自衛権もなく、日米豪印の集団安全保障の進展もなかった。株価は8000円台を低迷したままだったろう。

 もし奇跡の復活によって第二次安倍政権が成立していなければ、鳩山由紀夫政権→菅直人政権→野田佳彦政権→石原伸晃政権→石破茂政権と続き、橋下徹政権や小泉進次郎政権、小池百合子政権もあり得ただろう。日本は完全に陥没していた。十年は国家が没落するには充分過ぎる年月である。

 はっきり書いておきたい。この辺りが今の日本人の実力相応な所なのである。

 安倍政権の間中、私は繰り返し説き続けた。

「安倍氏は日本に下駄を履かせてくれているだけだ。今の内に、我々が死力を尽くして安倍氏の手の届かない内政課題やマスコミ、アカデミズムの暴走に対処しないと、安倍後が大変な事になる。」

 この言葉を心身の全重量を掛けて理解・行動してくれる人はいなかった。

 安倍氏の突如の不在の後、日本はどこまで堕ち続けて、それに気付く事になるのだろうか。

 歴史は愚者には残酷な裁定をする。

 例外はない。

桶屋良祐 念法眞教燈主

 稀有の宰相

 安倍晋三元総理大臣閣下の突然のご逝去の報に接し痛惜の情に堪えません。ここに念法眞教教団を代表し謹んで哀悼の意を捧げます。

 ご生前にお会いした折の閣下は、いつも私心なく、常に世界の中の日本国の生きるべき道を正しく考えられ、今もその時の閣下の声が耳に響いております。日本国のため身骨を砕いて勤めて来られました。そのことは第一次・第二次内閣を通して、これまでの憲政史上にない長く安定した政権となったことに現れています。国内では教育、経済の問題に取り組まれ、国外では粘り強い外交で各国の信頼を得、私達国民は、日本の国の素晴らしさを改めて知るに至りました。

 とりわけ国防問題では防衛庁を防衛省にされるなど、「国の守り」に尽力されました。「国の守り」の大切さは私方教団の開祖親先生が常に説かれたことであり、閣下はまさにその思いを体現された方でいらっしゃいました。閣下のお考えは、私方教団が立教九十年を迎えました際に発行した記念誌『あたたかい心につつまれて』に閣下から頂戴した玉稿にも示されています。「『日本再生』と『住みよい世の中』づくり」と題され、閣下のご施策が「住みよい世の中」づくりに努める私方教団の活動と「軌を一にするもの」と記して下さっています。

 真に国を愛し、国民を愛し、そのご生涯を日本のために捧げられた、稀有の政治家でいらっしゃいました。まさに日本、世界の闇を照らす巨星のごとしであり、閣下のご逝去は痛恨のきわみであります。ここに心からの敬意と感謝の念を表し、篤く御礼を申し上げ、ご冥福を心からお祈り申し上げます。

呉 善花 東京国際大学教授・評論家

 「日本発」の主張で世界を魅了

 安倍元総理、一九九〇年代初め頃、あなたと中川昭一さん主催の「若手議員勉強会」でお話をさせていただいて以来、何度もお会いする機会に恵まれました。私宅での茶室開きにおいでいただいたこと、総理公邸の夕食会にお招きいただいたこと、小さな居酒屋で杯を傾けたこともありました。生涯残る貴重な思い出として深く胸に刻んでいきたく存じます。

 最も心に強く印象づけられたあなた独自の政治姿勢について触れておきたく存じます。

 二〇一二年十二月十六日の衆議院選挙で自民党が圧勝してあなたの次期首相が確定し、同月十九日に朴槿恵の韓国大統領選挙勝利が確定しますと、その日にあなたは「新大統領と緊密に意思疎通を行なうことで、大局的な観点から日韓関係をさらに深化させていきたい」と記者団に語りました。その翌日からあなたは、明らかにイノベーションと言い得る、これまでに例を見ない友好的な対韓姿勢・政策を次々に打ち出していかれました。これほど当初から韓国を重視した日本首相はかつていませんでした。が、まことに残念なことに朴槿恵は、政権の座に就くや否や強固な反日姿勢を露わにし、以後長きにわたって一貫させていったのでした。国民から少しでも親日とみなされないために、だったのでしょう……。

 「日本発」の主張・提言で世界の政治動向に多大な影響を与えた、唯一の日本政治家であるあなたの人間力は世界の人々を魅了しました。安倍元総理が残したものは偉大です。心からの御冥福をお祈りいたします。


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